VCC(Vapor Compression & Condensation)班

文責 藤原
共同研究者:日野 俊之(東大)

[ VCC蒸発脱水システムについて ]

既成技術である蒸気再圧縮プロセスを基に,VCC(Vapor Compression and Condensation)システムとして,新たに標記技術を定義し,2004年度より本学に実機を導入して研究を行ってきた.本システムは水蒸気を作動媒体とするヒートポンプシステムである.そのため,水蒸気を圧縮する必要があるが,現状では水蒸気圧縮機というものは殆ど大型な物しか存在せず,VCC蒸発脱水システムに見合う小型な物が存在しない.そこで,本研究では小型な水蒸気圧縮機を開発することを目的としている.しかし水蒸気を圧縮する場合には課題が多い.特にVCC蒸発脱水システムでは,乾燥容器内を微負圧に設定している.圧縮機吸入圧力の低下に伴い,吐出蒸気温度が高温になってしまう.圧縮機で使用するベアリング,シール,圧縮機に使用する材料の熱膨張を鑑み,120~150[℃]以下が好ましいとされている.このため吐出側温度の低減が要請される.また過度な昇温を防ぐことが可能であれば,圧縮動力削減効果も期待できることが分かっている.よって,小型な水蒸気用圧縮機を開発する上で,前述した課題解決を目的とする.

 

[ 2010年度からの研究 ~水蒸気に対する高効率圧縮~ ]

2011年度までの研究では,まず水蒸気を圧縮する際の,適切な圧縮過程について調査を行った.その結果,見かけ上,飽和蒸気線に沿った気液二相圧縮過程にすることにより,圧縮機の動力削減効果,圧縮機吐出蒸気温度低減が期待できる事を確認した.その方法として,シリンダ内に直接液噴霧する効果を調査した.シリンダ内における水噴霧の仕組みとは,噴霧した水が潜熱として,圧縮された蒸気の過熱した分の熱を奪うプロセスである.これにより,過熱度低減効果,また吐出蒸気流量の増加が期待できることを明らかにした.圧縮動力低減効果については,約1~4%になることが確認された.また,圧縮過程中に蒸発し得る微小な液滴半径を求めた.圧縮行程中に蒸発し得る液滴半径については,ヌッセルト数を2と近似し液滴半径を算出した.液滴直径は8[μm]程度と微小でなければならないことが確認された.その微小な液滴半径の噴霧方法として,10[μm]以下の液滴を生成できる噴霧ノズルを使用することを検討した.この結果を受け,現在では微小液滴の噴霧を可能とするノズルの調査,また,シリンダ内に直接液噴霧を行う実証試験の試験装置を作成している.