EPI(Energy Process Integration)

「低温排熱駆動式吸収式ヒートポンプに関する研究」

・研究背景

近年のエネルギー事情の変化により未利用エネルギーに対する関心が高まっている.中でも排熱は,太陽光や風力に比べて安定性が高く,有効なエネルギー源であるといえる.現在,多量の低温排熱が有効利用されることなく大気中に放出されており,この低温排熱をヒートポンプに利用し冷暖房に生かすことで,温度管理のコスト削減や環境への負荷の低減に繋がると考えられる.ヒートポンプとは少ない投入エネルギーで空気中などから熱をかき集めて,大きな熱エネルギーとして利用する技術のことで,エアコンや冷蔵庫といった身の回りの機器でも広く利用されている.

こうしたヒートポンプを農業分野に適用しようという試みが広がりつつある.特に施設園芸では,暖房機をほぼ終日稼働させる場合に大量の燃料を必要とするため,省エネルギー化と運用コスト削減の観点から燃料消費量の低減が課題となっている.そこで,工場や地熱などの排熱を利用した,ビニールハウス向けの吸収式ヒートポンプサイクルに関する実証試験が行われている.製品化されている吸収式ヒートポンプサイクルはガス焚きによる高温動作型のものが一般的であるが,排熱等(120[°C]以下)のより低い熱源で動作可能なタイプについても研究が行われている.

本研究室ではアンモニア・水混合媒体を用いた低温排熱駆動の吸収式冷凍機に関する研究を行ってきたが,これまでに得られた知見を活かして低温動作型の吸収器ヒートポンプに関する導入検討を進めている.

・研究内容

低温排熱駆動に適した吸収式ヒートポンプの機器構成をシミュレーションによって調査している.シミュレーションモデルの作成には熱物性の算出が可能な方程式ソルバーEES(Engineering Equation Solver)を用いており,各構成機器について熱・物質収支式を立式し,飽和条件等を設定しながらサイクル内の各状態点の算定を行う.これらの算定プログラムに対してサイクルシミュレーションを行い,外部温度条件(熱源温度や熱出力温度・冷熱出力温度)に対する暖房・冷房特性を調査している.そして,得られた結果をデューリング線図,溶液線図等を用いて考察することで,各サイクルの特徴を明確化し,低温排熱駆動に適した吸収式ヒートポンプサイクルを構築する.

また,シミュレーションモデルの妥当性を評価するために,試験データとの比較を行っている.図1に試験設備の様子を示す.実験設備の制御系はFoundation Fieldbus 機器で構築しており,ヒートポンプへ流入する媒体の温度のControl In the Fieldを実現している.

今後は,シミュレーションによって得られた結果を用いて,低温排熱駆動吸収式ヒートポンプの試作機の詳細設計を行っていく.

EPI01

図1. 吸収式ヒートポンプ実験施設

コメントを残す