DCM (Diagnostics on Coriolis Mass-flowmeter)班

現在,プロセス制御分野では,計測機器のディジタル化が進み,フィールドバスと呼ばれる規格をもとに,計測機器と集中管理センターの間で双方向ディジタル通信を行う高性能・多機能計測機器が広く使用されている.これにより,従来では計測機器は要求された計測値しか通信することができなかったのに対し,現在では計測機器自体の中で様々な情報を通信し,処理するようになっている.

当研究班では,このフィールドバスの機能を利用して,従来は熟練者の勘と経験に頼っていた不具合の検出を自動監視プログラムとして計測機器に搭載することで,より安全で効率的なプロセスラインの運転,管理を目指している.

その中で現在は,コリオリ式質量流量計の不具合を診断する技術の開発を行っている.コリオリ式質量流量計は質量流量を直接測定でき,流量測定精度が高いという大きな特長をもっている.また,高粘性液体の質量流量測定も可能であることから,石油化学プラント,食品プラント等で広く用いられている.

コリオリ式質量流量計における腐食の診断手法に関する研究

コリオリ式質量流量計の測定管内に腐食が生じると,流量の測定誤差や最悪の場合破損に至る危険がある.

現状では定期検査によって腐食を診断することが一般的であるが,定期検査はラインを停止させなければならず,設備稼働率が低下するという問題がある.そこで本研究では,流量計に備え付けられた機能のみを用い,流量計をラインから取り外すことなく,流量測定中でも腐食を診断可能な手法を開発している.

現在は,流量計の測定管が持つ力学的特性に着目し,腐食によるそれらの特性への影響を実機による実験やシミュレーションにより検証している.

コリオリ式質量流量計における気泡混入の診断手法に関する研究

コリオリ式質量流量計は,力学系に基づいた流量算出手法を用いていることから,測定対象が液体の場合,気泡が混入してしまうと,液体質量流量の測定精度が悪化する.このため,コリオリ式質量流量計において,液体の質量流量を常に高精度で測定するためには,まず気泡混入の有無を診断することが求められる.そして,気泡が混入していると判断された場合は,測定誤差を補正する必要がある.常に精度良く質量流量が求められる診断手法および流量補正手法が確立されれば,コリオリ式質量流量計の適用範囲拡大,プラント設計の自由度拡大につながると考えられる.

以上のような背景から,気泡診断班ではまず,コリオリ式質量流量計内への気泡混入を模擬した実験調査を行い,気泡混入がコリオリ式質量流量計の流量測定値に与える影響を明らかにしている.その上で,コリオリ式質量流量計への気泡混入の有無を診断する手法の提案を行っている.最終的には,気泡がコリオリ式質量流量計内へ混入した場合でも,流量補正を行うことで,正味液相質量流量を精度良く求められる手法の確立を目指している.